東京女子医大創立と存在意義

東京女子医大創立者吉岡彌生
東京女子医科大学 創立者

吉岡彌生
Yayoi Yoshioka


吉岡彌生先生は、『私が東京女子医科大学の前身である東京女医学校を創立したのは明治33年でありますが、当時いかにも低かった婦人の社会的地位を向上せしめようとしたのが動機であります。婦人の地位を向上せしめるには、まず婦人に経済的能力を与えなければならず、それには自分が医師でもあるし、また、医学医術は婦人に適している立派な職業でもありますから、これを専門に教育する機関を創立することを考えたわけであります。

東京女子医大創立者吉岡彌生

昭和27年頃、至誠会本部の前に立つ彌生先生。
車は至誠会員からの「追放解除」のお祝金をもとに購入されたもの。

また、私が学びました済生学舎は共学のため風紀が乱れ、そのため女子の入学を拒絶するようになりましたことも私が女子のみの医育機関の必要を感じた動機の一つでもあります。
以上述べましたことが創立の根本趣旨のあらましであります。 したがいまして、私の考えの根底にあるものは医学ではなくて婦人であります。もし医学教育のみに眼をそそぐなら共学の方が有利かも判りません。また、病院の経営のみを考えるならば共学の卒業生が勤務する方が楽かもしれません。

しかし私の建学の趣旨は上述のとおりでありますので終戦後の困難な時期にもついに初志をまげませんでした。すなわち、終戦後の我が国の医学教育制度改革に際して、女子医学教育を固執することの不利を各方面から公式非公式に勧告されました。けれども、私はいかなる不利な条件があろうとも、この信念をまげまいと考えておりましたので、外国の事情などをいろいろ説明して、女子医学教育の必要性を強調したのでありました。その結果、ついに女子医科大学が認められることになったわけであります。そして、現在では「東京女子医科大学」が本邦唯一の女子医科大学であります。』と「医人」7巻5号1958で述べております。

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